価格割引とは

1. はじめに:プライム会員限定割引が進化

プライム会員限定割引について、よく知らないという人は多いんじゃないでしょうか。

タイムセールやクーポンと比べるとマイナーな機能で、プライム会員にしか適用できないという制限があり、敬遠されがちでした。

しかし2024年12月より、この機能が「価格割引」に統合され、大きく進化しました。

最も注目すべき変更点は、プライム会員に限定されていた割引を、全ての購入者に提供できるようになったことです。

ちなみに、セラーセントラルのメニューでは「価格割引」、ヘルプなどでは「価格の割引」と表記が分かれています。

元々の英語表記は「Price Discounts」なんですが、Amazonの翻訳は雑なので、不統一のまま放置されていますが、この記事では「価格割引」に統一して解説していきます。

2. Amazonの販促機能を整理する

Amazonにはさまざまな割引施策が存在し、それぞれの特長や違いを理解するのは簡単ではありません。

そこで価格割引の解説の前に、まずはセールスプロモーションの全体像を整理してみましょう。

セールスプロモーションの種類

セールスプロモーションの種類

まず最も代表的なのが「タイムセール(TS)」です。これは以下の4つに分類されます:

  • おすすめ:7日間実施可能
  • 数量限定:自分で数量を設定
  • 特選:招待制のセール
  • 在庫処分:長期在庫品向け

これら以外にも「セール」という別枠の機能があります。

これはタイムセールとは異なる機能で、それなりに効果があるものの、Amazonのヘルプにも詳細な情報がなく、ネット上でもほとんど情報が出回っていない機能です。

さらに「クーポン」があり、これは通常版と定期おトク便版の2種類が存在します。

また「プロモーションコード」という機能もあり、これは地味ながら合わせ買いやまとめ買いを促進するのに役立ちます。

これらの機能は、大きく2つに分類できます:

価格を下げるもの価格を下げないもの
タイムセール、価格割引、セールクーポン、プロモーションコード

価格を下げないクーポンとプロモーションコードは、タイムセールや価格割引と組み合わせることで相性が良く、より効果的なプロモーションが可能になります。

3. 価格割引の基本情報

価格割引は、タイムセールとは別枠の通常価格を下げる割引施策です。

Amazonがタイムセールと並行してこの機能を導入した理由は明確ではありませんが、セラーにとってなかなk使い勝手の良い機能となっています。

タイムセールとの大きな違い

タイムセールとの比較

タイムセールは期間や開始時期が制限され、Amazonの承認が必要です。

一方、価格割引は期間を自由に選べ、商品も自由に選択できるため、セラーの自由度が高いのが特長です。

また、タイムセールと同様に価格と割引率も表示されます。

例えば「通常価格3,000円の商品が33%オフで2,000円」といった具合です。

このように通常価格(場合によっては過去価格)と比較した割引率が表示されることで、購入者にとって大きなお得感を演出できます。

主な特長

  • 割引対象を「すべての購入者」か「プライム会員限定」か選択可能
  • 最長30日間の実施が可能
  • 50%を超える割引率の設定も可能
  • 複数商品への一括設定が可能

これは大きな改善点です。

従来のプライム会員限定割引から、全購入者も対象にできるようになったことで、より幅広い顧客層にアプローチできるようになりました。

実際の効果については、プライム会員限定の方が売れるというケースもあるかもしれませんので、各セラーでテストしてみることをおすすめします。

一方で、長期間実施すると割引前の価格表示が消える可能性があります。

例えば、3,000円の商品を2,000円で販売し続けると、ある日突然2,000円のみの表示になってしまうことがあります。

この日数は商品ごとに異なるため、1週間以上実施する場合は、定期的に価格表示を確認することをおすすめします。

4. メリット・デメリットを詳しく解説

価格割引には、メリットとデメリットが存在します。

実施を検討する際は、両面を理解した上で判断することが重要です。

メリット

価格割引の最大のメリットは、無料で実施できる点です。

タイムセールは、おすすめタイムセールで税込8,800円、数量限定タイムセールで4,400円かかりますが、価格割引は費用がかかりません。

また、タイムセールより長い期間実施できることも大きな利点です。

タイムセールは7日間が基本ですが、価格割引は最長30日間実施可能です。

さらに、タイムセールより実施条件が緩やかです。

タイムセールはAmazonが指定した商品でしか適用できませんが、価格割引なら幅広い商品に適用できます。

デメリット

一方で、デメリットというほどではありませんが、やや残念なところは「タイムセールほどは売れない」という点です。

これには主に2つの理由があります。

1つ目は、タイムセールページに表示されないことです。

Amazonには常設のタイムセール特集ページがありますが、価格割引を実施してもここには掲載されません。

このページだけを見て購入する顧客も多いため、露出(インプレッション)の減少は避けられません。

2つ目は、タイムセールの赤いラベルが付かないことです。

これにより目立ち度が下がり、クリック率(CTR)もタイムセールと比べると劣ります。

実施条件(資格要件)

価格割引を実施するには、以下の条件を満たす必要があります:

  • 新品商品であること
  • FBA配送であること
  • 出品者の評価が3.5以上
  • 商品レビューなし、または星3.0以上
  • 不適切な商品(出品禁止商品、違法商品)でないこと
  • 5~10%以上の割引を実施すること

また、ビッグセール時(プライムデーやブラックフライデーなど)は、これらの条件がさらに厳しくなる可能性があります。


なお、プライム会員限定割引の割引額に関するヘルプの説明は非常に分かりにくく、テクニカルサポートに問い合わせても明確な回答は得られませんでした。

僕の理解としては、過去30日間の最低価格より5%以上の割引、プライム会員限定の場合は10%以上の割引が必要と言う感じです。(少し違ってるかもしれません。。。)

ただ、5%程度の割引だとやる意味もないので、あまり気にしなくても良いと思います。

5. 効果的な活用シーン

価格割引は、いくつかの場面で特に効果を発揮します。

具体的な活用シーンを見ていきましょう。

Amazon主催セール時の活用

スマイルセールや年3回のビッグセールなど、Amazon主催のセール時期に価格割引を実施するのは効果的です。

タイムセールほどの爆発的な売上は期待できないものの、一定の売上増加が見込めます。

また、売れた分だけSEOにも良い影響があるため、検索結果でより上位に表示されるようになり、商品の露出増加につながります。

新商品発売時の活用

新商品のローンチ時にも価格割引は活用できますが、少し注意が必要です。

販売実績が全くない状態では、割引前の価格(通常価格等)と割引率が表示されません。

これは当然のことで、過去の販売実績がないと比較対象となる価格が存在しないからと思われます。

そのため、新商品発売時は以下の手順を推奨します:

  1. まずはクーポンを付けて販売開始
  2. ある程度の販売実績を作る
  3. その後、価格割引を実施

割引率の設定について

価格割引を実施する際は、割引率を多めに設定することをお勧めします。

5%~10%程度の小幅な割引では、インパクトが小さく効果が限定的です。

検索結果の上位表示のために販売個数を増やすことが目的なので、購入者の目を引くような割引率を設定しましょう。

特選タイムセールまでの活用

価格割引は、特選タイムセールの招待が来るまでの「つなぎ」として活用するのも一つの方法です。

タイムセールの方が売上は見込めますし、特選タイムセールなら費用も無料です。

ある程度の販売実績を積んで特選タイムセールの招待を待つまでの間、価格割引で販売を伸ばしていく戦略は理にかなっています。

6. 具体的な設定手順

価格割引の具体的な設定の手順については、下記の動画でご確認ください。

7. まとめ:コスパ重視のセラーにおすすめ

ここまで価格割引について詳しく見てきましたが、この機能の本質は以下の4点に集約されます:

タイムセールとは別枠の割引施策であり、条件が緩く実施しやすい点が特徴です。

タイムセールほどの爆発的な売上は期待できないものの、十分な販売個数と売上の増加が見込めます。

また、上記の結果、SEOにも良い影響があり、検索結果の上位表示が狙えます。

無料で実施できるので、特に費用対効果を重視するセラーにとって、この機能は魅力的な選択肢となるでしょう。

タイムセールは確かによく売れるんですが、おすすめタイムセール8800円や数量限定タイムセール4400円といったように費用がかかります。

1商品ならまだしも、10商品、20商品となると大きな負担になります。

そのため、資金に余裕があるセラーはおすすめタイムセールを活用し、費用負担を抑えたいセラーは価格割引を活用する、という使い分けが効果的です。

コストパフォーマンスを重視する方にとって、価格割引は非常に使い勝手の良いツールとなるでしょう。

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