商標登録のやり方と注意点を徹底解説

Amazonブランド登録、もうしていますか?

Amazon物販セラーにとって、Amazonブランド登録はもはや避けて通れない重要なステップであり、商標登録はその核となるものです。

この記事では、商標登録の基本から実践的なノウハウまで、具体的に解説していきます。

Amazon物販における商標登録は、自社ブランドの保護だけでなく、Amazonブランド登録を行うための必須要件として重要な役割を果たします。

本記事では、商標登録の基礎知識から具体的な手続きの流れ、かかる費用、オンライン代行業者の活用方法まで、実践的な内容を解説します。

特にブランド名の決め方や、登録時の注意点については、よくある失敗例を交えながら詳しく説明しているので、これから商標登録を考えているAmazonセラーの方は、ぜひ参考にしてください!

1. Amazon物販における商標登録とは

商標登録とは、特許庁に自社の商標(ブランド)を登録する手続きのことで、これにより、自社ブランドと商品の権利を法的に保護することができます。

シンプルに言えば、あなたのブランドを他者が勝手に使用できないようにする仕組みです。

しかし、Amazon物販においては商標登録の意義はそれだけではありません。

以下の2つの重要な目的があります。

第一に、Amazonブランド登録をする際の必須要件となります。

自社商品の価値を高め、さまざまな便利な機能を使用するためには、このブランド登録が欠かせません。

第二に、相乗り出品からの防衛です。

Amazon物販では「相乗り」と呼ばれる、他のセラーが自社商品のページで販売を始める行為が問題となっています。

商標登録は、この相乗り対策として非常に効果的な手段となります。

つまり、Amazon物販における商標登録は、単なる権利保護以上の意味を持っています。

商標登録にはある程度の費用がかかりますが、これはビジネスにおける必要な投資と考えましょう。

2. Amazonブランド登録で使える機能

商標登録を完了してAmazonブランド登録を行うと、通常のセラーアカウントでは利用できない様々な機能が解放されます。

商標登録の前に、それらの機能について簡単に説明していきます。

Amazonブランド登録について詳しく知りたい人はこちらの記事を参照してみてください。

相乗りされにくくなる

Amazonブランド登録を行うことで、相乗りしてくるセラーは激減します。

完全にゼロにはなりませんが、多くのセラーはブランド登録された商品への相乗りを避けるため、売上へのダメージを大幅に抑制することができます。

商品カタログの保護

Amazonブランド登録されていない商品の場合、カートを取得した他のセラーに商品カタログの編集権限を奪われてしまいます。

しかし、Amazonブランド登録を行えば、他者による商品情報の編集を防ぐことができます。

VINE先取りプログラムの利用

これはめちゃくちゃ重要な機能です。

Amazonでは商品レビューがないと売れにくい一方で、通常レビューは100件の購入に対して1件程度しかつきません。

しかしこのVINEを利用すれば、一度に30個のレビューを獲得することが可能です。

VINEについて詳しく知りたい人はこちらの記事を参照してみてください。

A+コンテンツの作成

A+コンテンツを使用することで、商品ページの情報量を大幅に増やすことができます。

これにより、CVR(コンバージョン率)やユニットセッション率が向上し、購入される確率が高まります。

サムネイルだけでは伝えきれない商品やブランドの情報を、効果的に伝えることができるんですね。

A+コンテンツについて詳しく知りたい人はこちらの記事を参照してみてください。

ブランドストアの開設

ブランドストアはブランディングのためのものではありません。

もちろんブランドをアピールすることはできますが、それよりもっと重要な点として、そこから売上が上がります。

爆増!というわけにはいかないですが、売上の下支えにはなります。

広告費をかけることなく、複数の商品を一度に見てもらえる機会を作ることができるので、Amazonブランド登録が完了したらぜひ進めたいですね。

スポンサーブランド広告とブランド割引

これらの機能もブランド登録しないと使用できません。

他の機能と比べると絶対に必要というわけではありませんが、販売促進のオプションとして持っておいて損はないでしょう。


このように、ブランド登録によって得られる機能は多岐にわたり、それぞれがAmazonでの販売を有利に進めるための重要なツールとなります。

3. 商標登録の流れ

商標登録の流れ

商標登録の手続きは、以下の順序で進んでいきます:

  1. 事前調査
  2. 申請
  3. 審査
  4. 登録料納付
  5. 登録

一連の流れを見ると、とてもシンプルに見えますが、実際の登録までにかかる時間は、申請方法によって大きく異なります。

通常審査の場合

通常の審査ルートを選択した場合、申請から登録までには10ヶ月から1年程度の時間を要します。

これは一般的な商標登録の期間となります。

早期審査の場合

一方、早期審査を選択すると、申請から登録までの期間を約2ヶ月程度まで短縮することが可能です。

これは追加料金を支払うことで利用できる超特急の審査ルートです。

ただし、これらの期間はあくまでも一般的な目安であり、案件によってばらつきが生じることがあります。


商標登録の手続きは、自分で行うことも、専門家に依頼することも可能です。

特に初めて商標登録を行う場合は、後述する代行業者の利用を検討することをお勧めします。

4. 主な商標の種類

主な商標の種類

商標登録には、地味ながら非常に重要な種類の区分があります。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

文字商標

文字商標は、漢字、ひらがな、カタカナ、英数字などの文字のみで構成される商標です。

例えば、Apple、ユニクロ、SONYといった企業名がこれにあたります。

図形商標

図形やイラストなどのデザインのみで構成される商標です。

代表的な例として、Appleのリンゴマークや、Nikeのスウッシュ(チェックマークを丸くしたような形のロゴ)が挙げられます。

立体商標

商標の形状自体や立体的なマークを登録するものです。

意外かもしれませんが、明治の「きのこの山」や「たけのこの里」の形状も、この立体商標として登録されています。

結合商標

文字、図形、立体を組み合わせたものです。

例えばマクドナルドは、文字と図形を組み合わせたロゴの結合商標を持っています。

同時に「マクドナルド」というカタカナの文字商標や、「M」のマークだけの図形商標も別途取得しています。

Amazon物販での重要ポイント

ここまで商標の種類の概要について解説してきましたが、Amazon物販においては「文字商標」が最も重要です。

それ以外の図形商標や結合商標等は、正直なところ重要ではありません。

これは、Amazonの検索やブランド登録において、文字による識別が基本となっているためです。

実際に、図形商標でブランド登録を申請すると、ほぼ確実にトラブルが発生するため、文字商標での登録を強くお勧めします。(図形商標でAmazonブランド登録した人を複数人知っていますが今のところ100%トラブってます…)

J-PlatPat

こちらは特許庁の知的財産権のデータベース、J-PlatPatのサイトです。

考えたブランド名が、自分の売りたい商品区分で他社に取られてないか、確認しておきましょう。

【J-PlatPat】

https://www.j-platpat.inpit.go.jp

5. 商標区分について

商標登録において重要な点は、1つの商標を登録すれば全ての種類の商品が保護されるわけではないということです。

商標は国際的に統一された区分ごとに登録する必要があり、登録している区分のみが保護されます。

同じブランド名でも、区分が違えば共存できます。

全部で45区分あり、主なものを概要に記しました:

商標区分一覧1類から16類まで
商標区分一覧17類から32類まで
商標区分一覧33類から45類まで

これらの区分は、商品やサービスの性質によって分類されています。

例えば、ユニクロという商標が保護されるのは、アパレルなど、ユニクロが実際に販売している、あるいはこれから販売する予定の商品の区分だけです。

仮にトヨタが新しい車種に「ユニクロ」という名前をつけても、ユニクロ(企業)は文句を言えません。

なぜなら、ユニクロは乗り物の商標区分で登録していないからです。

また、Amazon物販でよく耳にする35類について触れておく必要があります。

これは簡単に言えば「お店の名前」の区分です。イオンやヨーカドーといった小売店の名称がこれにあたります。

しかし、Amazon物販セラーが取るべき区分は、基本的に35類ではありません。

商標区分の選択は、自社が実際に販売する商品のカテゴリーに基づいて行うべきです。

また、いろんなカテゴリーで商品を出す場合は、その度に区分ごとに登録する必要がありますが、同じ区分で新商品を出す場合は改めての登録は不要です。

6. 商標登録の費用

商標登録にかかる費用の目安1
商標登録にかかる費用の目安2

商標登録にかかる費用は、必ず発生する特許庁への費用(印紙代)と、代行業者に依頼する場合の手数料に分けて考える必要があります。

特許庁への必須費用

まず、出願印紙代として12,000円がかかります。これは自分で申請しようが、代行業者に依頼しようが、必ず必要な費用です。

この費用は出願(審査)に関して特許庁に支払う手数料であり、審査で拒絶(却下)されても返金されません。

次に、登録印紙代(5年分)として17,200円が必要です。

これは商標登録後の5年間の維持費用と考えてください。

なお、5年と10年を選択することができ、初回は5年を選ぶセラーが多いと思われます。

合計すると、特許庁に支払う必須費用の合計は29,200円となります。

代行業者の手数料

代表的な代行業者であるToreruとCotoboxの手数料について比較してみましょう:

Toreruの場合:

  • 出願手数料:19,800円
  • 登録手数料:0円
  • 合計:19,800円

Cotoboxの場合:

  • 出願手数料:11,000円
  • 登録手数料:16,500円
  • 合計:27,500円

オプション費用

また超特急で商標を登録できる早期審査を希望する場合は、追加で手数料がかかります:

  • Toreru:22,000円
  • Cotobox:33,000円

なお、自分で申請する場合は代行手数料は不要ですが、紙での申請の場合は切手代や電子化手数料(1,200円)がかかります。

またオンライン申請の場合は、電子証明書関連の追加費用が発生する可能性があります。

これらの費用を全て合計すると、一般的な商標登録では:

  • Toreruの場合:49,000円(早期審査の場合61,000円)
  • Cotoboxの場合:56,700円(早期審査の場合89,700円)
  • 自分で行う場合:29,200円+α(電子化手数料等)

となります。

7. ブランド名のポイント

ブランド名を決める際は、以下の3つの条件を必ず満たすようにしましょう。

これらは商標登録の成功率を高めるだけでなく、実際の販売でも重要な要素となります。

ブランド名に最も大事なこと3つ

なるべく短い

短いブランド名が良い理由は2つあります。

まず、お客様が覚えやすいということ、そしてもう一つは、Amazonの商品タイトルには文字数制限があるため、ブランド名が長いとタイトルの残りの部分を表示するスペースが減ってしまうからです。

読める

自分しか分からないような読み方や発音のブランド名は絶対に避けるべきです。

お客様が発音できる名前にすることで、商品を探したり、他の誰かに伝えたりする際に役立ちます。

覚えやすい

発音ができて意味が理解できるブランド名は、記憶に残りやすく、検索しやすく、口コミで広がりやすいという利点があります。

読めないブランド名は記憶に残りにくく、検索も難しく、口コミでの拡散も期待できません。

ブランド名を考えるためのヒント

他の有名ブランドがどのように名前を考えたのかを参考にすると、良いヒントが得られると思います。

複数の言葉を組み合わせる

例えばソフトバンクは、文字通り「ソフト」と「バンク」を組み合わせた造語です。

これは「ソフトウェアの銀行になりたい」という創業者の思いを表現しているそうです。

既存の言葉をアレンジする

例えばサントリーは、太陽を表す「SUN」と創業者の「鳥井」の苗字を組み合わせ、さらに「Torii」ではなく「Tory」と語尾を変化させています。

独特の綴りを使用する

例えば自動車メーカーのマツダは、英語表記で「MAZDA」としています。

本来なら「MATSUDA」となるところですが、外国人には「TSU(ツ)」の発音が難しいため、似ている「Z」に変更したという経緯があるそうです。

このように、全くの造語でなくても、複数の言葉を組み合わせたり、文字を変化させたりすることで、独自性のあるブランド名を作ることができます。

上記を参考に、ちょうど良いブランド名を考えてみてください!

8. 商標登録における注意点

商標登録を成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。

特に以下の点については、しっかりと理解しておく必要があります。

事前調査は必須

自分では考え抜いたつもりの商標でも、実際のところは先に他の人に取られているものが多いですし、また取られていなくてもどんな名前でも登録できるわけではありません。

僕の実際の例を挙げると、数年前、ある趣味系の商品で、その趣味の英語名に「ジャパン」を付けた名称(例:スキージャパン、スノボジャパンのような形式)を考えて、他に類似商標がないことを確認した上で販売を始めました。

順調に売れていたために商標を登録しようとしたところ、「この名称では通りません」と言われました。

ガーン!

これは、一般的な用語の組み合わせは登録できないというルールがあるためだそうです。

少なくとも、類似商標がなくても審査に落ちることがある、ということは理解しておきましょう。

調査結果のランク

Toreruを例に取ると、調査結果は「A」「B」「C」の3段階で判定されます。

  • A判定:通る可能性が高い
  • B判定:五分五分
  • C判定:落ちる可能性が高い

他の代行業者でも、どこも似たような判定かと思われます。

そしてB判定やC判定の商標で無理に進めることはおすすめしません。

審査で拒絶された場合、反論することも可能ですが、それにも追加の手数料がかかります。

A判定以外の場合は、A判定が取れそうな別の商標名を検討した方が良いと思います。

代行サービスの選択

代行のサービスの質は、どの業者でも大して変わりません。

したがって、有名な業者の中で最も安い会社を選べば良いでしょう。

複数区分をまとめて申請すると業者の費用は安くなりますが、まだ商品が決まっていない段階では、1つ1つ個別で申請することをおすすめします。

なお、オフラインの弁理士に依頼するとほとんどの場合非常に高額になります。

オンラインの代行業者だと2~3万円の手数料で済むところが、オフラインだと5万円以上かかることも珍しくありません。

文字商標の重要性

Amazon物販においては、文字商標一択です。

画像商標や結合商標でのAmazonブランド登録は、100%トラブルになります。

Amazonブランド登録とは関係なく画像や結合商標も登録したい場合は構いませんが、Amazonブランド登録のためには必ず文字商標を登録しておく必要があります。

J-PlatPatへの反映期間

特許庁に申請してから特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)に反映されるまでには、2~3週間かかります。

Amazonのブランド登録審査ではJ-PlatPatで商標を確認するため、この反映期間を考慮して早めに申請を行いましょう。

商標の数について

商品数が増えても、商標は1つで十分、と僕は思います。

カテゴリーごとに別々の商標を取得すると、管理が煩雑になり、費用も余計にかかります。

僕は3つブランドを持っていますが、とにかく管理が面倒なので激しく後悔しています。

個人セラーや零細セラーの場合は、どんな商品カテゴリーにも使えそうなブランド名を1つ決めておくことをお勧めします。

9. まとめ

商標登録について、重要なポイントを整理しましょう。

商標登録の目的

商標登録の主な目的は、自分のブランドと商品を守ることです。

これは法的な権利保護という意味で非常に重要です。

さらにAmazon物販においては、ブランド登録を行うための必須要件となっており、ビジネスを成長させるために欠かせない要素となっています。

Amazonブランド登録の重要性

商標登録を完了してAmazonブランド登録を行うことで、相乗り対策やVINEプログラムの利用、A+コンテンツの作成など、様々な便利な機能を使用できるようになります。

これらの機能は、売上の拡大や、効率的なビジネス運営に大きく貢献します。

オンライン代行業者の活用

商標登録の手続きは、オンラインの代行業者を利用することで、比較的スムーズに進めることができます。

代行業者を利用すると手数料は必要になりますが、ミスのリスクを減らすことができ、特に初めての方にはお勧めです。

早めの申請を

商標登録の申請から完了まではある程度の時間がかかります。通常の審査で10ヶ月から1年、早期審査でも2ヶ月程度必要です。

さらに、特許庁への申請からJ-PlatPatへの反映まで2~3週間かかることも考慮に入れ、時間に余裕を持って申請を行うことが重要です。


商標登録は、Amazon物販を行う上で避けて通れない重要なステップです。

しっかりと準備を整え、確実に進めていきましょう!

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