Amazonで商品を販売する際、商品紹介コンテンツA+は非常に重要な機能の一つです。
その中でも「ブランドストーリー」は、ブランドの世界観を効果的に伝えることができる強力なツールです。
この記事では、ブランドストーリーA+の基本的な概要から具体的な設定方法まで、徹底的に解説していきます。
1. Amazon商品紹介コンテンツA+におけるブランドストーリーの位置づけ
A+には無料版と有料版がある
商品紹介コンテンツA+は、大きく分けて「無料」と「有料」の2種類が存在します。
これらは併用することができず、どちらか一方を選択する必要があります。
また無料のA+コンテンツには、以下の2種類があります:
- ベーシックA+:一般的に「A+」と呼ばれる基本的な商品紹介コンテンツ
- ブランドストーリーA+:ブランドに関する情報を中心に掲載できるコンテンツ
ベーシックA+は、商品カタログのサムネイルでは伝えきれない商品情報を詳しく掲載するためのものです。
対して、ブランドストーリーA+は、ブランド関連情報を中心に掲載し、商品情報はブランドのラインナップの一部として紹介する形となります。
ベーシックとブランドストーリーは併用可
重要なポイントとして、ベーシックA+とブランドストーリーA+は併用が可能です。
つまり、商品情報とブランド情報の両方を効果的に伝えることができるのです。
このように、商品紹介コンテンツA+の中でもブランドストーリーA+は、ブランドの世界観や価値観を伝えるための独自の役割を持っています。
ブランドストーリーA+の表示場所
実はブランドストーリーA+の表示場所は、デバイスによって異なります:
- スマートフォン:ベーシックA+の下に表示
- パソコン:ベーシックA+の上に表示
プレミアムA+は?
一方、有料版として「プレミアムA+」というものも存在します。(現在は無料プロモーション期間中です)
プレミアムA+では動画掲載など、無料版にはない機能を利用することができます。
しかしプレミアムA+は、利用開始には様々な条件があり、またいずれ有料化されます。
今のところは無料の2つのA+のみで十分でしょう。
2. ブランドストーリーの特徴と機能
ブランドストーリーA+はブランドの世界観を表現する場として機能します。
具体的には以下のような情報を掲載することができます:
- ブランドの設立秘話
- ブランドの商品ラインナップ
- ブランドに関する様々な情報
商品カタログやベーシックA+が「商品そのもの」に関する情報を伝えることを目的としているのに対し、ブランドストーリーは商品だけでなく、ブランド自体に興味を持ってもらうためのコンテンツです。
そしてブランドストーリーA+には、複数のモジュールが用意されています。
テキストや画像に加えて、Q&A形式のコンテンツも設定可能です。
これにより、ブランドについて多角的な情報発信が可能となります
3. ブランドストーリーの実例
Amazonで最も成功したブランドの一つと言えるAnker。
その中でもSoundcoreは、Ankerのオーディオ専門ブランドという位置付けです。
ここでは、実際にSoundcoreのワイヤレスイヤホン「Life P2 Mini」(月間販売数約2万個)の商品ページを例に、ブランドストーリーの構成を見ていきましょう。
商品ページの構成
PCで商品ページを開くと、「ブランド紹介」というセクションがサムネイル画像の下に配置されています。
これがブランドストーリーの部分です。
背景画像があり、その上に複数の長方形画像が左右にスライド可能な形で配置されています。
一方、その下の「商品の説明」以降がベーシックA+のセクションとなっています。
ベーシックA+では、以下のような商品固有の情報が掲載されています:
- 2万円以下のノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホンの販売数量シェアNo.1
- 片耳での使用可能性や軽量性の説明
- 簡単なワンステップ接続方法 等々
4. ブランドストーリーのメリットとデメリット
ブランドストーリーがどんなものかはわかったと思いますが、ここからはメリットとデメリットについても解説してきます。
メリット
1. 商品の購買意欲向上
お客様にとって、有益な情報が増えれば増えるほど、購買意欲は高まります。
ブランドストーリーを通じて提供される追加情報は、お客様の購入判断を後押しする重要な要素となります。
2. 無料での他商品紹介
通常、商品を消費者に見てもらうためには広告費が必要です。
しかし、ブランドストーリーを活用することで、自社の他の商品を無料で紹介することができます。これは大きなコストメリットとなります。
3. ブランディング強化
ブランドの情報を効果的に伝えることで、ファン化につながる可能性が高まります。
ブランドのことを深く知ってもらうことで、より強い信頼関係を構築することができます。
4. 価格競争からの脱出
ブランドファンを獲得できれば、必ずしも価格で勝負する必要がなくなります。
例えばApple製品のように、価格が高くても必ず購入するファンを作ることができる可能性があります。
ただし、ブランド強化や価格競争からの脱却といった効果を得るためには、以下の条件が必要です:
- 十分な商品ラインナップの展開
- 市場での上位ポジションの長期維持
- 数年以上の時間をかけた継続的な取り組み
デメリット
1. Amazonブランド登録の必要性
ブランドストーリーを利用するためには、Amazonブランド登録が必須となります。
商標登録だけでも最低3万円程度のコストが発生します。
ただし、現在のAmazon物販においては、ブランド登録は避けて通れないので、やむをえないでしょう。
2. 画像制作の費用と労力
効果的なブランドストーリーを作成するためには、質の高い画像が必要です。
これには相応の費用と労力がかかりますが、売上を向上させるための必要経費として考える必要があります。
これら以外の大きなデメリットは特にありません。
初期投資と継続的な運用コストを考慮しつつ、長期的な視点で取り組むことが重要です。
5. ブランドストーリー作成の実践ガイド
モジュールの種類と特徴
ブランドストーリーには全5種類のモジュールが用意されており、最大20個まで設定することができます。
これはベーシックA+の17種類のモジュールと比べると種類は少ないものの、より多くのモジュールを配置できる特徴があります。
また、ベーシックA+が縦方向に伸びる構成なのに対し、ブランドストーリーは横方向にスライドして見る形式となっています。
では各モジュールの詳細を見ていきましょう。
1. ロゴ入りブランドヒーロー画像
- 背景画像と左下のオーバーレイテキストで構成
- ウェブサイトのトップに配置される横幅いっぱいの画像
- 1回しか使用できない最初のモジュール
- この上に最大19個のモジュールを追加可能
- オーバーレイテキストはスマホ表示の場合、他のカードで隠れてしまう
2. ブランドカード4つのASIN
- 商品紹介用のモジュール
- 4つまでのASINを掲載可能
- 各画像をクリックすると対応する商品カタログへ遷移
- 「ストアにアクセス」ボタンでブランドストアへ遷移
- 評価:◎ 無料で商品を露出できるすばらしいモジュール。メインの1つ。
3. ブランドカードについて
- 横長の小さい画像とテキストの組み合わせ
- ブランドロゴや説明文を掲載可能
- 評価:△ 画像が小さいため、よほどこれを使う理由がなければ使わなくて良いのでは?
4. ブランドカードに関する質問
- テキストのみのモジュール
- 3つの質問を掲載可能
- 画像なしのシンプルな構成
- 評価:△ 日本語(翻訳)がおかしい。Q&A作るならブランドカードメディア資産で作る方がきれい
5. ブランドカードメディア資産
- 中サイズの画像にオーバーレイテキストを配置
- 少量のテキストを画像と組み合わせて表示
- 評価:◎ ブランドストーリーの中で最も画像が大きい。メインの1つ。
モジュールの種類まとめ
具体的な設定方法
1.セラーセントラルの3本線メニューから「在庫」>「商品紹介コンテンツ管理」をクリックします。
2.「商品紹介コンテンツの作成を開始する」をクリックします。
3.「ブランドストーリーA+を作成」を選択します。
4.コンテンツ名を入力し、エディター画面で各要素を設定していきます。
ロゴ入りブランドヒーロー画像の設定
最初に必ず設定が必要なヒーロー画像は、以下の手順で設定します:
1.見出しと本文を入力します。(必須ではない)
2.PC用とスマートフォン用の2種類の画像をアップロードし、各画像のキーワード(代替テキスト)を入力します。
※代替テキストは、体感上SEOへの影響はほぼありませんが、入力する必要があります。
各モジュールの追加方法
「モジュールを追加」ボタンから、必要なモジュールを選択して追加していきます。
「ブランドカード4つのASIN」の設定:
1.ASINを入力し(メイン画像が自動的に表示される)、必要に応じて画像を変更します。
2.見出しとブランドストアIDを入力します。
「ブランドカードについて」の設定:
画像をアップロード し、本文を入力します。
「ブランドカードに関する質問」の設定:
プルダウンから質問タイプを選択(カスタムがおすすめ)し、質問と回答を入力します。
「ブランドメディア資産」の設定:
画像をアップロードし、見出しと本文を入力します。
プレビューと確認
設定が完了したら、以下の手順で確認と公開を行います:
1.プレビュー画面で表示を確認します。
デスクトップ(PC版)
モバイル(スマホ版)
2.プレビューで問題がなければ、右上の「ASINを適用」ボタンをクリックします。
3.適用するASINを選択し、「コンテンツを適用」をクリックします。
4.最終確認後、「送信」ボタンで完了です。
6. ブランドストーリーで掲載すべきコンテンツ案
ブランドストーリーの掲載内容
ブランドストーリーの作り方は理解できたところで、実際何を載せればいいのでしょうか?
困ったときは、パワーセラーを参考にするのが一番です。
Soundcoreのブランドストーリーでは、以下のような要素が効果的に配置されています:
ブランドロゴと価値観の提示
市場での強みのアピール
- 2万円以下の完全ワイヤレスイヤホン販売シェアNo.1
- 世界でのオーディオ製品販売実績5,000万台以上
商品ラインナップの紹介
- ワイヤレスイヤフォン
- ヘッドホン
- ポータブルワイヤレススピーカー
- オープンイヤーイヤホン
- 権威性の提示
- Amazonマケプレアワードでの2年連続3冠受賞
- Ankerグループの各ブランド紹介(Anker、Soundcore、Eufy、Nebula)
このように、Soundcoreのブランドストーリーは、ブランドの強みや実績を効果的に伝えながら、幅広い商品ラインナップを紹介する構成となっています。
商品単体の説明に留まらず、ブランド全体の価値を効果的に伝えることで、消費者の信頼獲得につなげていますね。
Ankerの事例を参考にしつつ、自社のブランドストーリーに何を載せるべきか、具体的なコンテンツ案を見ていきましょう。
ブランディング要素
以下のような要素を組み込むことで、ブランドの魅力を効果的に伝えることができます:
- ブランドが大切にしている価値観
- 会社の歴史や成り立ち
- 商品を通じて実現したい未来
- 商品開発に込めた想いや商品が生まれた背景
- 開発者の熱意や苦労話
- 素材や製法へのこだわり
- 品質管理への取り組み
- お客様の声を活かした改良点
- 社会貢献への取り組み
商品紹介要素
自社の商品ラインナップを効果的に見せるために、以下のような内容を掲載することができます:
- 人気商品のラインナップ
- 新商品の案内
- シリーズ商品の紹介
理想のブランド像の構築
多くのセラーは、「お金が欲しいから始めた」「一人で始めたばかり」という状況で、掲載できる情報が限られているかもしれません。
しかし、そのような場合でも、後付けでブランドストーリーを構築することは可能です。
以下のような視点でブランドの方向性を考えてみましょう:
- 自分が理想とするブランド像を描く
- お客様が「買ってみたい」と思えるブランドの特徴を考える
- その理想像に基づいて、ブランドストーリーの内容を組み立てる
このように、現状の規模に関わらず、将来を見据えたブランドストーリーを作成することで、ブランドの成長に合わせて内容を充実させていくことができます。
7. まとめ:効果的なブランドストーリー活用のポイント
ブランドストーリーA+は、Amazonの商品紹介コンテンツA+の一つとして、ブランドの世界観を強くアピールし、お客様にブランド自体への興味を持ってもらうための機能です。
無料で複数の商品を露出できる点も、大きなメリットとして挙げられます。
商品紹介コンテンツとしては、5種類のモジュールを最大20個まで使用可能で、作り方や構成については、人気ブランドの事例を参考にすることで効果的な活用が可能です。
Amazonブランド登録者への推奨
Amazonブランド登録をしているセラーは、ぜひブランドストーリーを作成することをお勧めします。
その理由として、無名で小規模なブランドの商品は、基本的にお客様からの信頼を得にくい状況にあることが挙げられます。
私たち自身も商品を購入する際、レビューの数や点数は確認しますが、有名ブランド以外で「ブランドを信用して購入する」ということは稀です。
私たちの商品は、Amazonで出店しているから購入してもらえるものの、自社サイトでは購入される可能性は極めて低いというのが現状です。
だからこそ、以下のようなメッセージを少しでもアピールしていく必要があります:
- 他社との違い
- ブランドとしての真摯な姿勢
- 成長への意欲
長期的な視点での取り組み
とはいっても、1〜2商品程度では効果的なブランディングは難しいのが現実です。
そのため、以下のような段階的なアプローチが重要となります:
- 商品数を5個、10個と増やしていく
- 各商品カテゴリーでトップ集団のポジションを確保
- そのポジションを数年間維持する
このように、地道な努力を積み重ねることで、ブランドストーリーがより説得力を持ち、効果的なツールとして機能するようになっていきます。
ブランドストーリーA+は、単なる商品紹介のツールではなく、長期的なブランド構築のための重要な要素として活用していくことが求められます。