Amazon物販で成功するためには、様々な販促手法を駆使する必要があります。
その中でも「クーポン」は、多くのセラーが活用している人気の手法です。しかし、クーポンを本当に効果的に使いこなしているセラーは意外と少ないんじゃないかなと思います。
この記事では、Amazonのクーポンについて、その基本的な設定方法から、誰も教えてくれない本当の使い方まで、詳しく解説していきます。
7年間のAmazon物販経験で培った知識とノウハウを、余すところなくお伝えします。この記事を読み終えた後には、パワーセラーたちが現場でクーポンがどのように使っているのか、理解することができます。
そのやり方を真似するべきかはなんとも言えませんが(僕はやりません)、そんな手法があると知っておくことは大事ですね。
クーポンとは?
Amazonのクーポンとは、購入者に対して割引を提供する仕組みです。新聞の折込チラシについているクーポンとほぼ同じですね。
Amazonのクーポンには以下のような特徴があります:
- 割引方法の選択:金額割引(○円引き)またはパーセント割引(○%引き)から選べます。
- 対象者の選択:プライム会員限定または全購入者対象のいずれかを設定できます。
- 視認性の向上:クーポンを発行した商品(ASIN)は、検索結果に緑色のマークが表示されます。
クーポンと似た機能に「プロモーションコード」がありますが、そちらはもう少し複雑な仕組みで、クーポンではできないいろんなことができるのですが、今回はクーポンに焦点を当てて解説していきます。
クーポンは一見シンプルな仕組みに思えますが、実は奥が深く、使い方次第で大きな効果を発揮することができます。
クーポンを設定するメリット
クーポンを設定することで、セラーには以下のようなメリットがあります:
CTR(クリック率)の向上
クーポンを設定すると、検索結果画面に緑色のマークが表示されます。この視覚的な要素が購入者の目を引き、クリック率(CTR)を向上させる効果があります。競合商品の中で自社商品が目立つようになるため、消費者の注目を集めやすくなります。
CVR(ユニットセッション率)の向上
割引が適用されることで、購入者の購買意欲が高まります。結果として、商品ページを訪れた人が実際に購入する確率、つまりコンバージョン率(CVR)が向上します。これは売上増加に直結する重要な指標です。
SEO対策としての効果
CTRとCVRが向上することで販売個数が増え、Amazonの検索アルゴリズムに良い影響を与えます。クリック率と購入率が高い商品は、Amazonにとって「顧客にとって価値のある商品」と判断されますし、販売個数の増加も相まって、検索順位が上昇し、さらなる露出増加と売上向上につながります。
通常価格を下げずに販促が可能
後ほど詳しく説明しますが、クーポンを使用することで通常価格を維持したまま、効果的な販促活動を行うことができます。これは価格戦略を柔軟に立てる上で重要なポイントとなります。
これらのメリットを聞くと、「クーポンはかなり良さそうだ!」と思いますよね?確かに、うまく活用すれば非常に効果的なツールとなります。
しかし、クーポンを使用する前に、いくつか注意点があります。
クーポン発行の資格
Amazonでクーポンを発行するには、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件は、クーポン制度の悪用を防ぐためのものです。
大口出品者であること
クーポンを発行できるのは、大口出品者のみです。小口出品者の方は、まずアカウントをアップグレードする必要があります。
出品者評価の条件
- 評価が0の場合:この条件は気にせずクーポンを発行できます。
- 評価が1以上の場合:3.5以上の評価が必要です。
つまり、新規出品者は比較的簡単にクーポンを使用できますが、ある程度取引実績がある出品者は、一定以上の評価を維持する必要があります。
まあ、普通にやっていれば、3.5以上の評価は付くはずですし、それ以下の場合は悪い評価の内容を確認して、いろいろ見直した方がいいですね。
商品レビューの条件
商品自体にも評価条件があります:
- レビュー数が1〜4件の場合:2.5点以上
- レビュー数が5件以上の場合:3.5点以上
この条件も特に気にすることはないと思います。が、もしこれを満たせないようであれば、商品の品質を改善しましょう。
その他の条件
- 新品商品のみが対象(中古品は不可)
- Amazon上での販売経験が14日以上あること
- 当該商品の販売履歴があること(具体的な条件は非公開)
特に注目すべきなのは最後の点です。2024年3月から導入されたこの条件により、新規出品した商品にすぐにクーポンを付けることはできなくなりました。これが改悪されたと言われる部分ですね。
秘密主義のAmazonは具体的な条件を公開していませんが、おそらく一定期間内に一定数以上の販売実績が必要なのでしょう。試してみたところ、1個だけ販売してもクーポンの設定ができませんでした。
この非公開のルールは、クーポン制度が悪用(?)されてきたためにできたもので、今後も何かしら追加される可能性はあります。
これらの条件を見ると、クーポンの使用にはある程度のハードルがあることがわかります。
クーポンを設定するデメリット
クーポンには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。これらを理解し、適切に対処することが重要です。
利益の減少
まず1つめ、利益の減少です。割引を提供するので、1点あたりの利益が減ってしまいます。これは当たり前ですね。そして、売上数量が大幅に増加しない限り、全体の利益も減少する可能性があります。
クーポン発行手数料
Amazonはクーポン発行に対して手数料を課しています。2024年現在、クーポン1回の利用あたり税込66円の手数料がかかります。一見少額に思えるかもしれませんが、大量のクーポンを発行する場合や、低価格商品の場合は馬鹿になりません。
期待するほど売れない
多くのセラーは、クーポンを設定すれば劇的に売上が伸びると期待するんじゃないかと思います。Amazonのクーポンに関するネットの記事もいろいろ見ましたが、売上が伸びそうなことを書いてあります。
しかし、実際にはそうならないケースが多いです。私の経験上、クーポンを付けても大して売上が伸びません。
たまたま私が売ってきた多くのカテゴリーで効果がないだけで、カテゴリーによっては効果がある、という可能性はなくはないですが、基本的にはクーポンだけで劇的な売上増加を期待しない方がいいでしょう。
値下げとの比較
クーポンを使用するよりも、クーポンで割り引く分、商品の価格を下げた方が効果的な場合の方が多いです。僕はクーポンよりも値下げ派です。
これらのデメリットを見ると、「クーポンを使う意味はあるのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、クーポンは単独で使用するものではないんですね。
タイムセールとの関係
クーポンの本当の使い方を理解するためには、タイムセールとの関係を知ることが重要です。
タイムセールとは
タイムセールとは、特定の商品を期間限定で割引価格で提供するイベントです。Amazonが主催する大規模なセール(例:スマイルセール=旧タイムセール祭り)もありますが、セラーが自由にタイミングを選んで実施することもできます。
タイムセール価格の決定方法
タイムセールの価格設定には重要な制約があります:
- タイムセール価格の上限はAmazonが決定する(通常、通常価格の15-20%引き程度)
- セラーが希望する価格で必ずしも販売できるわけではない
さらに注意すべき点として:
- 通常価格を下げると、その分タイムセール価格の上限も下がってしまう
- 結果として、タイムセールに参加しづらくなる
値下げした通常価格からさらに15%から20%の値下げを要求されるとキツいですよね。なので、値下げするならタイムセールの参加を諦めるか、赤字覚悟でタイムセールをやるか。
タイムセールに参加するなら、値下げはできるだけしたくない、というのが正直な心情です。
よく売れる順番
実際のところ、どの販売方法が販売促進に最も効果的なのでしょうか?
ここでは、通常価格2,500円の商品を例に、3つの販売方法を比較してみます。
- タイムセールで20%引き:セール価格2,000円
- 通常価格を値下げ:2,000円
- クーポンで20%引き:実質2,000円
これらの方法の中で、最も売れる(CVRが高い)順番は以下の通りです:
- タイムセール
- 通常価格を値下げ
- クーポン
なぜこのような順番になるのでしょうか?いくつか理由を考えてみました。
タイムセールが最も効果的な理由
- 限定感:期間限定の割引は購買意欲を刺激します。
- 露出増:Amazonはタイムセールの商品を積極的にプロモーションします。
- 比較効果:通常価格との差が明確に表示されるため、お得感が強調されます。
通常価格の値下げが2番目に効果的な理由
- シンプルさ:追加のアクションなしで安い価格が表示されます。
- 信頼性:「いつでも安い」という印象を与えます。
クーポンが最も効果が低い理由
- 追加アクション:クーポンを適用する手間が必要です。
- 見落とし:クーポンの存在に気づかない購入者もいます。
どうでしょう?当たらずとも遠からずかな、と思います。
クーポンの効果的な使い方
前セクションで見たように、単純にクーポンを発行するだけでは、あまり効果的とは言えません。しかし、クーポンを戦略的に使用することで、売上を最大化しつつ、利益も確保する方法があります。
ただしこの方法はグレーです。
いや、クロかな。。。
通常価格のかさ上げ
まず、通常価格を少し高めに設定します。例えば:
- 本来2,000円で売りたい商品の通常価格を2,500円に設定
クーポンでの常時割引
次に、常時適用可能なクーポンを設定します:
- 20%オフのクーポンを設定し、実質2,000円で販売
この方法により:
- 通常時でも「割引中」という印象を与えられます。
- 実質2,000円で販売しながら通常価格(2,500円)を維持できます。
タイムセールとの組み合わせ
ここがクーポン戦略の核心部分です:
- タイムセール時は2,000円で販売
- 通常価格2.,500円からの20%オフに見えるため、大きな割引感を演出できます
この戦略のメリット:
- 通常時でも割引感のある価格で販売できる
- タイムセールに参加しやすい(通常価格が高いため)
- タイムセール時に大きな割引率を演出できる
- 売りたい価格(2,000円)で多くの商品を販売できる
この方法を使うことで、前述の「よく売れる順番」の1位(タイムセール)と3位(クーポン)の利点を同時に活用することができます。
ただし、この戦略には注意点があります:
- 景品表示法違反(二重価格表示)の可能性が高いです。
- 将来的にAmazonによって規制される可能性があります。
したがって、この戦略を採用する際は、法的リスクを十分に理解し、常に最新のAmazonポリシーに注意を払う必要があります。
次のセクションでは、実際にクーポンを設定する方法について説明します。
はい、では次のセクションに進みましょう。
クーポンの設定方法
クーポンの戦略的な使い方を理解したところで、実際の設定方法を見ていきましょう。Amazonセラーセントラルでのクーポン設定手順を説明します。
セラーセントラルにログインし、「広告」タブをクリックし、「クーポン」を選択
「新しいクーポンを作成」をクリック
クーポンの種類と対象者を選択
対象商品を選択(ASINを入力)
有効期間と割引タイプ(金額割引または%割引)を選択肢、割引額・率を設定。
予算を設定し、クーポン名を入力。プロモーションとの併用も選択。
設定内容を確認し、「作成」をクリック
注意点
- クーポンの予算は慎重に設定しましょう。予算に達するとクーポンは自動的に終了します。
- 有効期間は最短1日から最長90日まで設定可能です。
- クーポンの承認には通常24〜48時間かかります。
クーポン設定後の表示
- 検索結果ページ:商品サムネイルに緑色のクーポンバッジが表示されます。
- 商品詳細ページ:価格の下に橙色のクーポンバッジが表示されます。
クーポンのパフォーマンス分析
- セラーセントラルの「レポート」→「プロモーション」で、クーポンの効果を確認できます。
- クリック数、使用数、売上への影響などを分析し、今後の戦略に活かしましょう。
以上が基本的なクーポン設定の流れです。実際に設定する際は、前述の戦略を念頭に置きながら、自社商品に最適な設定を行ってください。
まとめと注意点
まとめ
- クーポンの主なポイント
- CTRとCVRの向上に寄与
- SEO対策としても有効
- 単独使用よりもタイムセールとの組み合わせが効果的
- 効果的な使用法
- 通常価格をやや高めに設定
- 常時クーポンで割引
- タイムセールと組み合わせて大きな割引感を演出
- 設定には条件あり
- 大口出品者であること
- 出品者評価や商品レビューの条件を満たすこと
- 販売実績が必要
注意点
- 景品表示法違反
- 常時クーポンを適用し、実質的な販売価格を下げる戦略は、二重価格表示と見なされる可能性が高いです。
- 法的リスクを十分に理解し、最新の規制動向に注意を払う必要があります。
- 小手先の価格戦術の限界
- クーポンやタイムセールは販促手法として非常に有効ですが、上記理由によりおすすめはしませんし、私はやっていません。
- 長期的な成功のためには、商品の品質を高めることに、より力を入れるべきでしょう。
最後に
Amazon物販で本当に成功するためには、以下の点が重要です:
- 良質な商品提供
- お客様のニーズを満たす高品質な商品を提供することが基本です。
- 競合商品のレビューを分析し、改善点を見つけ、商品に反映させましょう。
- お客様満足と高評価の重要性
- 高評価レビューの獲得が、最強の差別化につながります。
- 目標は★4.5以上。この水準を維持できれば、価格戦略に頼らずとも安定した売上を期待できます。
- 継続的な改善
- 市場動向や顧客ニーズの変化に合わせて、常に商品やサービスを改善し続けることが重要です。
クーポンやタイムセールは確かに効果的なツールですが、あくまでも補助的な手段です。本質的な商品力と顧客満足度の向上こそが、Amazon物販での長期的な成功の鍵となります。
これらの戦略を適切に組み合わせることで、競争の激しいAmazon市場でも、持続可能な成功を収めることができるでしょう。