Amazonビジネスという言葉を聞いたことはありますか?
人によっては、Amazonからしつこいぐらいお誘いのメールが届くこともありますよね。
実はAmazonには、アスクルやモノタロウのような、法人や個人事業主向けの購買サービスが存在しています。
この記事ではセラーとして参入すべきかどうかの判断材料になるよう、Amazonビジネスの特徴やメリット・デメリット、さらに具体的な設定方法まで詳しく解説していきます。
1. Amazonビジネスとは?個人向けとの違いを画像付きで解説
Amazonビジネスは、法人や個人事業主向けのAmazon購買サービスです。
通常のAmazonとは異なり、法人価格での購入や大口割引といった特典があります。
実際の画面を見ると、検索結果や商品カタログの表示が通常のAmazonとは大きく異なることがわかります。
検索結果の違い
通常の表示:
- 過去1ヶ月の購入数
- 商品価格
- Amazonポイント
- クーポン情報
法人アカウントでの表示:
- 法人価格(税抜・税込)
- 参考価格(通常価格)
- 大口割引情報(水色の帯で表示)
- ※ポイントやクーポン情報は非表示(ポイントやクーポンの設定は可能)
商品カタログの違い
通常の表示:
- 商品価格
- ポイント情報
- 過去1ヶ月の購入数
- クーポン情報
法人アカウントでの表示:
- 左上にAmazonビジネスのロゴ
- 右上にビジネスアカウント名
- 参考価格(通常価格)
- 法人価格(税抜・税込)
- 大口割引価格(5個以上で19%オフ、30個以上で29%オフなど)
- 通常のクーポンやポイント情報も表示
このように、法人アカウントでは大口購入を促すような価格表示が特徴的です。
また、税抜価格が明確に表示されるため、法人の経理処理がしやすい仕様になっています。
2. 【購入者向け】Amazonビジネスの4つのメリット
まずは、購入者から見たAmazonビジネスについてです。
法人価格での購入
Amazonビジネスの購入者は、通常よりも安い法人価格で商品を購入できます。
例えば、2,999円(税込)の商品が、法人価格では2,499円(税込)と500円も安くなるケースがあります。
これは約17%の値引きに相当します。
大口購入での割引
さらに数量に応じた割引制度があり、より大きな値引きを受けることができます。
上記商品の割引例:
- 5個以上購入:19%オフ
- 30個以上購入:29%オフ
このように、購入数が増えるほど単価を抑えることができます。
請求書払い(後払い)対応
法人アカウントでは請求書払いが可能です。
1ヶ月の間に複数回購入しても、月末にまとめて請求されるため、経理処理が効率的に行えます。
経費管理の効率化
Amazonビジネスには以下のような経費管理機能が備わっています:
- 経費の申請や承認プロセスの簡略化
- 購買データの可視化
- 税抜価格の明確な表示
これらの機能により、企業の購買管理や経理業務の効率化を図ることができます。
セラーにもおすすめの理由
実は、Amazon物販のセラーこそAmazonビジネスの法人アカウントを作成することをおすすめします。
その理由は:
- 法人向けとは関係なさそうな商品でも、大幅な値引きが適用されることがある
- 仕入れ時の経費管理が楽になる
- 請求書払いにより資金繰りの調整がしやすくなる
3. 【セラー向け】Amazonビジネスのメリット・デメリット
続いては、セラーから見た、Amazonビジネスについてです。
メリット
法人顧客の新規開拓
これまで個人顧客だけをターゲットにしていた商品を、法人顧客にも販売できるようになります。
特に文具やオフィス用品など、法人需要の高い商品を扱っているセラーにとっては、新たな市場が開けます。
大口取引の可能性
法人顧客は個人顧客と比べて、一度の注文で大量購入するケースが多くなります。
5個以上、30個以上といった数量割引を設定することで、まとめ買いを促進できます。
ライバルが少なく目立ちやすい
現状、Amazonビジネスに参入しているセラーは比較的少数です。
特に大口割引を設定しているセラーは限られているため、水色の割引表示で目立つことができます。
デメリット
利益率の低下
法人価格や大口割引の設定は、必然的に利益率の低下につながります。
例えば上記商品を例に取ると、、、
- 通常価格より17%安い法人価格の設定
- 5個以上で19%オフ、30個以上で29%オフ
など、段階的に利益率が下がっていきます。
キャッシュフローの悪化
請求書払い(後払い)に対応すると、商品発送から入金までのタイムラグが発生します。
早くて数週間後、遅い場合は1-2ヶ月後の入金となり通常よりも支払いが遅れるため、資金繰りへの影響を考慮する必要があります。
※すべての法人アカウントが請求書払いを選ぶわけではありません。
消費税課税事業者でないと不利
法人向け取引では、消費税の扱いが重要になります。
- 消費税非課税事業者でも出品は可能
- しかし、消費税の仕入れ控除ができない場合、法人顧客から敬遠される可能性が高い
- 法人価格で消費税以上の割引を提供できれば、この問題は軽減されるかもしれない
大口取引やリピートが見込めないリスク
- 法人価格を設定しても、普段どおり1個ずつしか売れない可能性がある
- 大口割引を設定しても、まとまった注文が来ないかもしれない
- 定期的な発注を期待しても、1回限りの取引で終わる可能性がある
4. Amazonビジネスに向いている商品とは
リピート購入が期待できる商品
オフィスや事業所で定期的に使用され、補充が必要になる商品が特に向いています。
具体例:
- 文房具
- ペン、ノート、ルーズリーフ等
- オフィス用品
- コピー用紙、ファイル等
- 消耗品
- インク、トナー等
大量購入が見込める商品
一度に大量注文が期待できる商品カテゴリーです。
具体例:
- パソコン周辺機器
- USBケーブル、LANケーブル、電源タップ
- 飲料・消耗品
- ミネラルウォーター、お茶、トイレットペーパー、ティッシュペーパー
自分の商品が合うかどうかわからないときは?
とりあえずやってみるのもいいかもしれません。
自分の商品に合わなければやめればいいだけですから。
5. Amazonビジネスの具体的な設定方法
法人価格の設定手順
- セラーセントラルにログインし、メニューから「在庫」>「全在庫の管理」を選択
- 画面右下の「比較対象価格と法人価格を表示」をクリック
- 「価格設定の詳細」画面で「法人価格」を入力
※法人価格は通常価格より安い価格に設定する必要があります。
また、利益率も考慮して設定しましょう。
大口割引の設定方法
- セラーセントラルにログインし、メニューから「価格」>「価格の自動設定」を選択
- 「価格設定ルール」画面で「法人価格と数量割引のルール」の「ルールを設定する」をクリック
- 「ルールを確認し有効にする」画面で以下を設定
- 購入個数の条件(例:5個以上、30個以上など)
- 割引率(例:19%オフ、29%オフなど)
設定時の注意点とコツ
利益率の確認
- 各価格帯での利益率を事前に計算
- 想定される注文数での収支シミュレーション
- 最大割引時でも適正な利益が確保できることを確認
在庫管理の考慮
- 大口注文に対応できる在庫数の確保
- 在庫切れを起こさないための発注タイミングの設定
定期的な見直し
- 競合他社の価格動向チェック
- 利益率の確認と必要に応じた価格調整
- 販売実績に基づく割引率の見直し
不正利用への対策
- 異常な大量注文への対応準備
- 必要に応じて注文数の上限設定
6. まとめ:Amazonビジネスは始めるべき?
Amazonビジネスへの参入は、あなたの商品や事業の状況によって判断すべきですが、以下のポイントを参考に、ご自身の状況に合わせて試してみてはいかがでしょうか。
なお法人アカウントはセラーにとってもメリットが大きいため、ぜひ作ることをおすすめします。
試してみる価値がある理由
リスクが比較的小さい
- 設定自体は無料
- いつでも設定を解除可能
新たな可能性の開拓
- 法人市場への参入機会
- 大口取引のチャンス
まずは1商品から試してみて、効果を見ながら徐々に対象商品を増やしていくのがおすすめの方法です。
うまくいかなければ設定を解除すれば良いだけなので、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。